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自民党議員会合における言論抑圧発言に抗議する

立命館大学教員有志アピール

呼びかけ人(12名):

 

市井吉興、山下高行(産社)、小堀眞裕(法)、宇野木洋(文)、金丸裕一、佐藤卓利、松尾匡(経済)、勝村誠(政策)、絹川浩敏、鄭雅英、山崎文徳(経営)                    事務局:近藤宏一(経営)

 

賛同者(89名)※順不同、敬称略。

 

産業社会学部(38):石倉康次、石田智巳、乾亨、遠藤保子、小川栄二、小澤亘、景井充、唐鎌直義、川口晋一、木田融男、権学俊、小泉秀昭、齋藤真緒、坂田謙司、崎山治男、櫻井純理、佐藤詩恵、佐藤春吉、下條正純、杉本通百則、竹内謙彰、津止正敏、富永京子、仲井邦佳、永島昂、永橋爲介、中西典子、中山一樹、根津朝彦、野田正人、長谷川千春、日暮雅夫、福間良明、増田幸子、松島剛史、松田亮三、峰島厚、山本耕平

 

法学部(11):安保寛尚、植松健一、小松浩、佐藤敬二、高橋直人、堀雅晴、二宮周平、松宮孝明、宮井雅明、望月爾、吉岡公美子     

 

国際関係学部(3):奥田宏司、益田実、南野泰義

  

文学部(8):庵逧由香、伊勢俊彦、加藤政洋、三枝暁子、田中聡、土肥秀行、美川圭、三須祐介

 

教育開発推進機構(1):土岐智賀子 言語教育センター(1):村上志保

 

経済学部(10):芦田文夫、稲葉和夫、河音琢郎、齋藤敏康、高屋和子、田中宏、西口清勝、藤岡惇、松野周治

 

理工学部(3):永井清、藤家雪朗、和田浩史

 

経営学部(13):石川亮太、伊藤冨雄、木本伸、小久保みどり、雀部晶、佐藤典司、長島修、中西一正、中村真吾、畑中敏之、服部泰彦、守屋貴司、匿名1名

 

テクノロジー/マネジメント研究科(1):三藤 利雄

 

非常勤講師(1):長内優美子

 

 6月25日に行われた自民党議員による「文化芸術懇話会」において、議員や講師から言論の自由を脅かすような発言が相次いだことに対して、私たちは言論の自由が最も重視されるべき学術研究に携わる者として、強い抗議の意志を表明します。

 同会合においては、出席議員から「マスコミを懲らしめるには広告料収入がなくなるのが一番。経団連に働きかけて欲しい」「悪影響を与えている番組を発表し、そのスポンサーを列挙すればいい」などの発言があり、それに応えて講師から「沖縄の2つの新聞はつぶさないといけない」という驚くべき発言が飛び出しました。

 同会合は「勉強会」とはいえ、自民党青年局長(当時)が主催し、同党議員が参加して同党本部で開かれたものであり、決して「飲み屋でしゃべって」(講師)いたわけではありません。そうした公の場において、直接にはメディアに対してであったとしても、言論の自由を金や権力によって抑圧しようという発言が公然と表明されたことに対して、私たちは激しい恐怖と怒りを覚えます。しかも発言者たちは、議員は党から「厳重注意」をうけ、講師は社会的な批判を浴びているにもかかわらず、そうした考えをその後も再三表明しています。

 学問研究の自由には、その成果を公に発表する自由が当然必要であり、言論の自由とは不可分のものです。また、言論を支配下に置こうとする者は学問研究をもまた自らの支配下に置こうとすることは、過去の歴史から見ても明らかです。しかし、学問研究の発展においてはさまざまな成果や見解を闊達に論じ合うことがきわめて重要であり、そのことがつきつめれば人類にとっても意味のある科学の発展につながるのです。学問研究を特定の利益に従属させようとした時にさまざまな問題が生じ、時にそれが破滅的な結果を招くことは、歴史が証明しています。

 立命館大学は、第二次世界大戦前の1933年に、国からその著書を発売禁止とされ京都大学を免官された法学者の滝川幸辰教授と、それに抗議して京大を辞職した方々を教員として迎え入れたことがありました。それは、暗黒の時代に学問研究の自由を守ることにつながったという点で、私たちにとっては忘れることのできない歴史です。こうした歴史をもつ大学で教える者として、政府与党議員による言論抑圧を当然視する発言を、私たちは断じて許すことはできません。私たちは発言者たちに対して、二度とこのような発言を行わず言論の自由を守ることへの誓約を求めるとともに、自民党総裁である安倍首相がしかるべき責任をとることを強く求めます。

  

                                2015年7月13日

 

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